老後に人並な暮らしをするためには65歳までにいくら貯蓄が必要?
大石武@個人投資家・ファイナンシャルラボ代表
最新記事 by 大石武@個人投資家・ファイナンシャルラボ代表 (全て見る)
- 銀行員に勧められるがままに商品を購入してはならない2つの理由とは - 2017年12月23日
- 1000兆円あるといわれる日本の借金の本当の姿とそのカラクリ - 2017年12月23日
- 貯金は大事?偶像崇拝のように言われる貯金神話の源と現状の差とは - 2017年12月23日
- 誰もが信頼する銀行の成り立ちから覚えるビジネスモデル - 2017年12月23日
- あなたはちゃんと説明できる?バブルの本当の意味とは - 2017年12月23日
「老後に貯蓄はいくら必要なのか?」みなさんは計算したことがありますか?
年金の受給開始年の引き伸ばし(今現在は65歳〜)や、会社の一時定年制度、立て続けに行われる消費税の増税による負担の増加、少子高齢化の加速、今現在私たちの老後の状況は年々悪くなってきていると言えます。
近年コンビニやカフェなどで高齢者が働いている状況からも、今後さらに悪くなっていくことが予想できると思います。
そういった老後の不安にうろたえることなく、人並みな暮らしをしていくために私たちは年金がもらえる65歳までにいくら貯蓄をしておけば良いのでしょうか?
本記事では、老後に人並みな暮らしをするために65歳までに必要な貯蓄額をご紹介いたします。
目次
モデルケースで必要な貯蓄額を計算してみよう
次の表は日本人の平均寿命の推移を男女別で表したグラフです。
医療技術の進歩により、年々男女共に平均寿命は延びてきています。
【画像引用元:厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」】
例えば次のようなモデルケースで老後に、人並みな暮らしをしてくためには65歳までにいくらの貯蓄が必要なのかを計算してみましょう。
- 単身(男性)で、85歳まで生きる場合
- 単身(女性)で、85歳まで生きる場合
- 二人以上の世帯で、共に85歳まで生きる場合
単身で、85歳まで生きる場合
総務省統計局の「平成28年度家計調査年報」によれば、単身世帯のうち高齢者無職世帯(世帯主が60歳以上の無職世帯)の月間の消費支出は15万6,404円となっています。
そのため、65歳から85歳までの20年間にかかる総支出額は次のように計算できます。
総支出額:15万6,404円×(20年×12ヶ月)=3,753万6,960円
厚生労働省の「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、65歳より厚生年金として月額平均14万7,872円が毎月支給されるため、65歳から85歳までに受給される年金の総額は次のように計算できます。
年金総受給額:14万7,872円×(20年×12ヶ月)=3,548万9,280円
総支出額と年金総受給額の差が65歳までに人並みな暮らしをしていくために必要な貯蓄額であり、次のように計算できます。
必要な貯蓄額:3,753万6,960円-3,548万9,280円=204万7,680円
しかし、実際には65歳定年はまだ現実的ではなく、今現在は55歳で一時定年の会社も増えてきています。
そのため60歳から65歳までの年金無受給で暮らす生活費を考えると、貯蓄額は次のように計算できます。
総支出額(60歳〜65歳含む):3,753万6,960円+(15万6,404円×60ヶ月)=4,692万1,200円
必要な貯蓄額:4,692万1,200円-3,548万9,280円=1,143万1,920円
つまり、60歳の定年までに少なくとも1,143万1,920円の貯蓄が必要だということになります。
二人以上の世帯で、共に85歳まで生きる場合
総務省統計局の「平成28年度家計調査年報」によれば、二人以上の世帯のうち高齢者無職世帯(世帯主が60歳以上の無職世帯)の月間の消費支出は23万9,604円となっています。
そのため、65歳から85歳までの20年間にかかる総支出額は次のように計算できます。
総支出額:23万9,604円×(20年×12ヶ月)=5,750万4,960円
厚生労働省の「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、65歳より年金として月額平均14万7,872円、妻が専業主婦とすれば、国民保険として月額平均5万5,244円、総額20万3,116円が毎月支給されるため、65歳から85歳までに受給される年金の総額は次のように計算できます。
年金総受給額:20万3,116円×(20年×12ヶ月)=48,74万7,840円
総支出額と年金総受給額の差が65歳までに人並みな暮らしをしてくために必要な貯蓄額となり、次のように計算できます。
必要な貯蓄額:5,750万4,960円-48,74万7,840円=875万7,120円
しかし、このモデルケースは「65歳定年」や「男性が平均寿命以上に生きる」などを盛り込んだケースであり、次のように、リアルケースに条件を近くすると少なくとも60歳までには2,214万1,248円の貯蓄が必要になってくることが分かります。
次の記事にて詳しく解説されているので、合わせてお読みください。
>>「平均年収程度のサラリーマンが定年まで勤めた場合にもらえる年金で将来裕福に暮らせるのか?」
余裕のある生活をおくるためには?
これまでご紹介してきたケースは、次のような平均の消費支出額をベースとしているため、人並みな暮らしとはいえ、贅沢などがあまりできない必要最低限の生活になってしまいます。
分類 | 消費支出額(円/月) |
非消費支出(税金等) | 12,445 |
食料 | 36,200 |
住居 | 12,402 |
光熱・水道 | 12,643 |
家具・家事用品 | 5,512 |
被服及び履物 | 4,217 |
保険医療 | 7,967 |
交通・通信 | 12,480 |
教育 | 27 |
教養娯楽 | 17,374 |
交際費 | 19,172 |
その他 | 15,965 |
支出合計 | 156,404 |
【※参考元:総務省統計局「平成28年度家計調査年報」】
この必要最低限の費用に、プラス7〜10万円程度の金額こそが、老後に旅行や趣味、レジャーなど、余裕をもって暮らせる金額になります。
具体的には、単身世帯であれば月額25万円ほど、二人以上の世帯でれば、月額35万円ほどの生活が送れるような貯蓄をしておけば、比較的余裕のある老後生活を送れるということになります。
60歳までの必要な具体的な貯蓄額としては、次のようになります。
- 単身世帯:3,548万3,280円
- 二人以上の世帯:4,873万9,440円
今の内から「資産を増やす」対策を!
85歳まで生きるとすれば、60歳の時点で独身であれば約3,500万円、夫婦であれば約5,000万円ほどは必要になります。
しかし、60歳時点での平均貯蓄額は1,000万円にも満たず、現実的にそれほどの貯蓄を行うことは非常に困難を極めます。
もしその貯蓄が可能であれば良いですが、もしできないのであれば、今のうちから資産をいかに増やしていくか、いかに将来にお金を残していくのかを考えていく必要があります。
その方法として資産運用はベストな方法と言えるでしょう。